こんにちは。婚活アドバイザーのサヤカです。
婚活中のご本人だけでなく、親御さんも同じように悩んでいらっしゃるケースがとても多いんです。「娘がもう何年も活動しているのに、ちっとも決まらないんです」「息子に気に入った人ができても、いつのまにか立ち消えになってしまって」——そうおっしゃる親御さんの表情は、たいてい心配と焦りでいっぱいです。
お子さんの幸せを願う気持ちは、とても自然で、尊いものだと思います。けれど、長くこの仕事を続けてきて、私はひとつ、少しだけ残酷な事実に気づいてしまいました。
婚活がうまく進まないお子さんの背景には、しばしば「良かれと思って」動いている親御さんの存在がある、ということです。
今日は、その「良かれと思って」がどんなふうにお子さんの足を引っ張ってしまうのか、できるだけやさしく、けれど正直にお話しさせてください。
心配は、いつのまにか「審査」に変わります
たとえば、こんな場面に心当たりはありませんか。
お子さんが「ちょっといいなと思う人がいるんだ」と、少し照れながら報告してくれた。あなたは嬉しくなって、つい質問を重ねます。お仕事は何をしている人なの? おいくつ? ご実家はどのあたり?——悪気なんて、これっぽっちもありません。ただ知りたいだけです。
けれど、答えを聞いた瞬間に「ふうん、転勤がある会社なのね」「あら、年下なの」と、ほんの少しだけ声のトーンが下がってしまう。
お子さんは、その一瞬の沈黙を、驚くほど敏感に拾い上げます。「お母さんは、この人をあまり喜んでいない」と。
心配からくる質問は、いつのまにか「審査」に変わり、やがて「もっといい人がいるんじゃない?」「焦って決めなくていいのよ」という”助言”へと姿を変えていきます。けれど、その言葉はお子さんにとって、〝今のあなたの選択は正しくない〟というメッセージとして届いてしまうのです。
「あなたのため」という言葉に、ひそむもの
親御さんの多くは、こうおっしゃいます。「私は子どものためを思って言っているんです」と。
それは本当でしょう。私は疑いません。けれど、「あなたのため」という言葉には、ときどき別の願いが、こっそり混ざり込んでしまうことがあります。〝自分が安心したいため〟〝自分の思い描いた通りであってほしいため〟という願いです。
ここを取り違えてしまうと、親御さんは知らず知らずのうちに、お子さんの人生をご自分の物差しで測りはじめます。お相手の収入はこのくらい欲しい、ご家庭はこういう雰囲気がいい、結婚するならこのくらいの時期までに——。
けれど、その物差しは、あくまで親御さんご自身のものなのです。お子さんが何に心を許し、誰と一緒にいるときに肩の力が抜けるのか。それは、まったく別の物語です。
そして、お子さんは親御さんの物差しを、痛いほどよく知っています。だからこそ、その基準に届きそうにないお相手を連れてくることをためらい、ときには「どうせ気に入ってもらえない」と、出会う前からあきらめてしまう。婚活が動かない本当の理由が、実はこんなところに隠れていることは、決して珍しくないのです。
いくつになっても、子どもは親の表情を見ています
おもしろいもので、人は何歳になっても、親に「ちゃんとやれている自分」を見せたいと願う生きものです。
幼い子が「ねえ、見て見て、できたよ!」と何度も親を振り返るのと、根っこは同じです。大人になったお子さんも、心のどこかで親御さんの表情をうかがっています。自分が選んだ相手を、自分が選んだ道を、親が一緒に喜んでくれるかどうか。その反応ひとつで、ほっとしたり、しゅんとしおれてしまったりするのです。
ですから、親御さんが少し眉をひそめるだけで、お子さんの背中はすっと丸くなります。
裏を返せば——あなたが心から「あなたが選んだ人なら、きっと素敵な方なんでしょうね」とほほえんであげるだけで、お子さんの婚活が、びっくりするほど軽やかに前へ進みだすこともあるのです。
手放すことは、見捨てることではありません
「でも、心配なものは心配なんです」。そうおっしゃる気持ちも、私はよくわかります。
ただ、ひとつだけ覚えておいていただきたいのです。お子さんを信じて任せることは、決して見捨てることではありません。それはむしろ、お子さんをひとりの大人として尊重する、いちばん深い愛情のかたちです。
お子さんがどんな人を選び、どんな家庭を築いていくか。それを最終的に決める権利は、お子さん自身にあります。親御さんにできるのは、隣で見守り、求められたときにそっと手を差し伸べることだけ。危なそうな橋を先回りして取り上げてあげることでも、安全そうな道へ誘導してあげることでもないのです。
「自分で選んだら、失敗するかもしれない」。もちろん、そうかもしれません。けれど、自分で選んで歩いた道なら、たとえ途中で転んでも、お子さんはちゃんと自分の足で立ち上がれます。親の敷いたレールの上で転んだときに残る後悔のほうが、ずっと根深く、長く尾を引くものなのです。
今日から、できること
むずかしいことは、何ひとつありません。
お子さんが婚活の話をしてくれたら、まずは口を挟まずに、最後まで聞いてあげてください。気の利いた助言よりも、「そう、がんばっているのね」のひと言のほうが、何倍も力になります。
お相手の情報を聞いても、頭のなかで採点をはじめるのを、ぐっとこらえてみてください。そして、こう伝えてみるのです。
「あなたが幸せだと感じられる人が、私にとってもいちばんいい人よ」と。
たったそれだけで、お子さんは「ありのままの自分でいいんだ」と感じられるようになります。そして、その安心感こそが、人をやわらかく魅力的にし、いいご縁を引き寄せていく土台になるのです。条件をどれだけ磨いても、表情のこわばった人のところには、なかなか縁は寄ってきてくれませんから。
最後に、少しだけ厳しいことを申し上げます。
お子さんの婚活がうまくいかないとき、世間のせいにするのも、時代のせいにするのも、お相手のせいにするのも簡単です。けれど、いちばん近くで、いちばん長いあいだ、お子さんの選択にこっそり「合格・不合格」を突きつけ続けてきたのは——ほかの誰でもない、親であるあなた自身だったのかもしれません。
お子さんを本当に結婚させたいのなら、まず親御さんのほうが、お子さんの人生から〝卒業〟してください。あなたがその手を離したまさにその日から、お子さんの婚活は、ようやく本当の意味で始まるのです。