こんにちは。「親の婚活相談所」でアドバイザーを務めておりますサヤカと申します。
同じ思いを抱えておられる親御様は、本当に多いんです。怒りでも、あきらめでもない。もっと手前にある、行き場をなくした気持ち。「出会いがないと本人は言う。けれど、自分からは一歩も動こうとしない」「結婚の話を切り出せば険悪になり、口をつぐめば歳月だけが過ぎていく」。せかせば遠ざかり、放っておいても近づかない。この板挟みのなかで、何年も足踏みをしておられる方は少なくありません。
今日はその足踏みについて、少し変わった角度からお話しさせてください。フランスの思想家、ジャン・ボードリヤールという人の言葉を、補助線としてお借りします。難しい話はいたしませんので、どうぞお付き合いください。
立ち止まりの奥にあるもの
そもそも、なぜお子様は動かないのでしょうか。「面倒くさいだけ」「わがまま」——そう片づけてしまいたくなる気持ちは、よく分かります。けれど、表面の言葉の下には、たいてい別の声が隠れています。
ひとつは、お金への不安。家庭を持てば自分一人の暮らしでは済まなくなる、という現実的な怯えです。もうひとつは、今の自由を手放したくないという気持ち。さらに、自分などが選ばれるはずがないという、静かにすり減った自己評価。そして、傷つくくらいなら最初から踏み込まない、という用心深さ。これらは口に出されることがほとんどなく、「出会いがない」という一言にすべて押し込められてしまいます。
ですから私たちは、まずこの隠れた声を、感情の問題としてではなく「構造」として捉え直すことから始めます。叱責の前に、見取り図を持つこと。これが第一歩です。
「地図が領土に先行する」とき
ボードリヤールが残した有名な言葉に、「地図が領土に先行する」というものがあります。ふつう、地図は土地を写し取ったものですね。土地が先にあって、地図は後からできる。ところが現代では順番が逆転し、先に地図 ……