婚活アドバイザーのサヤカと申します。
このごろ、親御さんのあいだで口をそろえたように出てくる言葉があります。「うちの子は、アプリでばかり相手を探していて、なかなかうまくいかないんです」。何人もの方と会っているのに結婚に近づかない。それどころか、傷ついて帰ってくる回数だけが増えていく。そんなお子さんを横で見ているのは、親としてとても歯がゆいものですよね。
今日は、なぜマッチングアプリでの婚活がこれほど多くの人をすり減らせるのか、その「仕組み」を少し深いところからお話しします。そのうえで、親御さんがどんな目で見守ればよいのか、相手のどこに注意すればよいのかを、具体的に整理してお伝えします。
「アプリをやめさせればいい」という単純な話ではありません。お子さんがなぜそこから抜け出せないのか、その構造を親御さんが理解しているかどうかで、かけてあげられる言葉はまったく変わってきます。叱るのではなく、味方として隣に立つために、まずは「敵の正体」を一緒に知っておきましょう。
念のため申し添えますが、私はアプリ婚活そのものを否定する立場ではありません。実際にアプリで素敵なご縁を結ばれた方も、数えきれないほど見てきました。ただ、そこは想像以上に手ごわい場所であり、戦い方を知らずに飛び込むと、いいように消耗させられてしまう。だからこそ、お子さん一人に任せきりにせず、親御さんにも仕組みを知っておいてほしいのです。
アプリで「ちょうどいい人」が見つからない、本当の理由
ここで一人、少し意外な人物の力を借りたいと思います。スロベニアの哲学者、スラヴォイ・ジジェクです。難しそうに聞こえるかもしれませんが、彼のマッチングアプリ批判は、婚活の現場にいる私から見ても驚くほど核心を突いています。お子さんの状況を理解するうえで、これ以上ない補助線になりますので、少しお付き合いください。
ジジェクが現代社会を語るときに繰り返し使う言葉に、「脱カフェイン化」というものがあります。カフェインのないコーヒー、糖分のないチョコレート、アルコールのないビール。今の私たちの社会は、こうした「核心的な毒性やリスクを排除した、安全な疑似体験」ばかりを商品として差し出してくる、という指摘です。そしてこの「リスクなき安全な体験」を求める病は、消費の世界だけでなく、愛や結婚という、人生でもっとも内密な領域にまで深く入り込んでいる、とジジェクは言います。
マッチングアプリは、まさにこの「脱カフェイン化された恋愛」の典型です。
プロフィールという「就職活動の面接試験」
アプリに登録した人は、自分の「交換価値」を最大化しようとします。ジジェクの言葉でいえば「自己商品化」です。都合の悪い特徴は沈黙させ、相手から欲望されそうな「完璧な自己イメージ」を注意深く組み立てて並べ ……